認知症の薬で最も古くから使われているのが「アリセプト」という薬。
この「アリセプト」の添付文書には実に面白いことが書かれていました。
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18.1 作用機序
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する
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「本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害する」
実はこれ、殺虫剤の仕組みと全く同じなんですよね。
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アセチルコリンエステラーゼ
神経の情報伝達を行うアセチルコリンを分解する酵素。情報伝達が終わったアセチルコリンを受容体周辺から分解・除去している。有機リン酸系殺虫剤やガーバメート系殺虫剤は、害虫のアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害することで、アセチルコリンを分解・除去できなくなり興奮を与え続けるため中毒症状を引き起こす。
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で、殺虫剤といえば、アースジェットやフマキラーなどが思い浮かびますが、これらは「ピレスロイド系殺虫剤」というもので、「アリセプト」は「有機リン酸系殺虫剤」と同じ仕組みです。
で、「有機リン酸系殺虫剤」は「ピレスロイド系殺虫剤」よりも毒性の強い殺虫剤です。
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殺虫剤の主な有効成分はピレスロイド系、有機リン系、カーバメート系などです。この内、もっとも危険度が高いのは神経毒性を持つ有機リン系ですが、カーバメート系も有機リン系と同じようにコリンエステラーゼ阻害により神経を過剰に興奮、麻痺させるため危険です。コリンエステラーゼとは、肝臓で作られる酵素の一つです。
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つまり、アースジェットやフマキラーなどよりももっと毒性の強い殺虫剤で認知症の進行を遅らせるというのですね。
皆さんは殺虫剤で認知症の進行を遅らせることができると思いますか。殺虫剤で認知症を治すことができると思いますか。
当然、できるわけがないですよね。逆に、頭がますますおかしくなってしまうことは間違いありません。
なので、「アリセプト」の添付文書にはきちんと「この薬で認知症の進行を遅らせることはできない」と書かれています。
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4. 効能または効果
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
5. 効能または効果に関連する注意
<効能共通>
5.1 本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
5.2 アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
(註 :認知症の進行は抑制するけど、認知症の進行を抑制するという成績は得られていないようです。無茶苦茶ですね。)
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こういうわけなので、「アリセプト」の添付文書にはおびただしい数の副作用が書かれています。

このように、抗認知症薬を飲んでもそれは殺虫剤を飲んでいるのと同じなので、認知症に効くはずもなく、逆に様々な副作用を発症することに繋がるだけですので、安易に抗認知症薬に手を出さないことをおすすめいたします。
そもそもこの抗認知症薬はアセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(タンパク質)を阻害することで、脳内のアセチルコリンを増加させて脳神経に活力を与える薬と言われていますが、このアセチルコリンとはタンパク質から作られるのです。
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コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)は,コリンのアセチル化を触媒し,神経伝達物質のアセチルコリンを合成する。
(註: コリンアセチルトランスフェラーゼとは酵素のことで酵素とはタンパク質のことです。)
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なので、わざわざ殺虫剤でアセチルコリンエステラーゼ(タンパク質)を阻害してアセチルコリンを増加させようとしなくても、最初からアセチルコリンの材料であるタンパク質を摂っていけばいいというだけの話なのです。(脳も40%がタンパク質ですからね。)
それに、アセチルコリンエステラーゼ=タンパク質を阻害してしまったら、逆にタンパク質が不足してアセチルコリンも作られなくなってしまうのではないでしょうか。
だからこそ、抗認知症薬の添付文書には「この薬で認知症の進行を抑制することはできない」と書かれているんですね。
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